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【憲法改正】各党党首に訊く 玉木雄一郎

文:松岡宏明(編集部)


憲法改正は今「惑星直列」のようなかつてないチャンスを迎えている

特に踏み込んで憲法改正の必要性を言い始めたのは新型コロナの時だ、こう語るのは国民民主党の玉木雄一郎代表だ。

 玉木代表は非常時には権力機構は通常とは違うメカニズムが働かなければならないのに、有事と平時とを分けた法体系がないために、非常時でのルールが定まっていないことが我が国の法体系の最大の課題だ、と指摘する。

 また、現代のネット時代の中で、物事を自由に判断する人、いわゆる合理的な自由人という近代憲法が想定する前提が揺らいでいることを指摘しネット時代に合った新たな人権規定が必要性も提案しているが、とりわけ、玉木代表が憲法審査会で急いで整えるべきだと主張するのが、災害や内乱、テロのみならず外国からの攻撃を含めて有事にどのように対応するのかという緊急事態条項と自衛権である。

 こう語る玉木代表にはコロナへの対応をめぐり憲法で保障されているはずの営業の自由や移動の自由など、いろいろな自由が「なし崩し」的に簡単に制限してしまったということへの反省、そしてこのままでは次の有事が起きた時も「なし崩し」の対応で国民のいろいろな自由や権利が脅かされてしまうのでは、という憂慮がある。

 緊急時であっても侵したり規制したりしてはならない権利、あるいは規制に対する代替措置や補償を予め明示し、立憲主義国家であるならば有事の時こそ適正手続に基づいた対応が徹底されねばならない、と訴える。

 憲法九条をめぐっては「私ほど戦争したくない人間はいない」と語る玉木代表は、憲法九条の議論で日本が戦争を仕掛ける側になるかのような前提に持っていかれがちなことへ疑問を呈すとともに、仕掛けられる戦争に日本はどう対応するのかということこそが九条をめぐる現実の問題だと指摘する。そして、日本が自国を自力で防衛するために自衛隊を保持し運用するという現実と条文の間の矛盾を解消するには解釈改憲ではなく条文改正によらねばならないこと、法理論の上では九条二項を直接いじり削除または改正するのか、あるいは九条二項を残しつつその例外を書き加えるのかどちらかしかない、と九条をめぐる論点を整理しつつ、今の自民党案と維新の案については九条一項、二項とその解釈はそのまま残すものであるが、それでは改憲後も共産党や一部憲法学者から「九条二項二違反している実力組織、軍隊があるじゃないか」と言われ続ける可能性があることを指摘する。

 こうした整理の上に、改憲後も憲法違反と誹られるということがないように、自衛隊をめぐる組織としての違憲論のみならず行為としての違憲論まで含めて違憲論を解消しきらなければならない、と自民党案や維新案よりも一歩も二歩も踏み込んだ改憲が必要だと強調した。

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