【憲法改正】各党党首に訊く 馬場伸幸
文:松岡宏明(編集部)
今が改憲の最大のチャンス
あとは岸田総理がスタートボタンを押すかどうかだ
今年で施行から77年、今の時代に合う憲法に変えるべきところは変えていく、これが維新の憲法観だと語るのは日本維新の会の馬場伸幸代表だ。
馬場代表は日本維新の会の掲げる改憲案として、以下の五本柱を打ち出している、すなわち、国家の永続的な基本方針としての(1)教育無償の保証、財源権限人間を地方に移し地方自治体が競い合う地方分権や中央政府と地方自治体の役割分担の明確にする(2)統治機構改革、司法改革の要としての(3)憲法裁判所の設置、立法事実への対応としての(4)自衛隊明記および(5)緊急事態条項だ。
とりわけ、馬場代表が意欲を燃やすのが(4)自衛隊明記である。そこには去年の訪米で感じた「まだまだ君ら大人になりきれていないからね」、「普通の国ではないからね」という「お子さま扱い」、「国として一人前ではない」という視線が見え隠れしていたことへの忸怩たる思いがある。また、自衛隊をめぐる「戦力」なのか「軍隊」なのか、という言葉遊びに対する辟易しながらも「はっきり言った方が国民の理解を得られるはずだ」と憲法改正論議に自信を覗かせた。
維新の会は既に憲法改正案を党内でまとめ切っている。気になるのは他党の動向だ。
九条改憲反対派については共産党については「憲法九条をお守りにしておけば誰も攻めてこない」という点で一ミリもぶれない考えを持っていると評する一方で、立憲民主党に対しては憲法の議論すらしないのは党として意見を集約することで党が壊れると恐れているのでは、これでは憲法改正については政党の体をなしているとは言えないと辛辣である。
他方で、「国民投票をやって提出した改憲項目が全敗した時には政権が吹っ飛ぶから、国民投票をやりたくないのでは」と自民党の憲法改正への取り組みに対する物足りなさは隠さない。憲法改正が進むかどうかはやる気があるかないかだ、とし自民党に対し早急に自民党としての憲法改正項目を維新のような形で取りまとめるべきだ、と述べる。これは維新の会から岸田自民党への強い催促だ。
また、維新の会が大阪でやった都構想をめぐる2度の住民投票を引き合いに、シングルイシューでの直接民主主義的な国民投票が国民に憲法を考えるきっかけをもたらし、結果として民主主義の成熟度が上がる、とプラスの面を強調した。そこには、都構想が否決されてもなお政権は飛ぶことなく大阪の府政・市政は維新が担ってきたのだという自負も感じられた。
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