朝日新聞からの申入書に対する小川榮太郎の回答

昨日、朝日新聞からの「徹底検証『森友・加計事件』 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」の著者・小川榮太郎氏と飛鳥新社への申入書に対する回答を発送致しました。内容は以下の通りです。


2017年12月5日

東京都中央区築地5―3―2
株式会社 朝日新聞社
広報部長 後田 竜衛 殿

東京都千代田区三崎町3―2―13
秋和ビル403
一般社団法人日本平和学研究所
代表理事 小川 榮太郎
電 話 03―6272―8738
FAX 03―6272―8739

回 答 書

朝日新聞よ、新聞社として恥を知りなさい。

 朝日新聞からの申入書への回答に先立ち、貴紙による一連の森友・加計報道について、総論的な結論から申し上げます。
 朝日新聞は日本を代表する言論機関です。
 法的構成が不可能な言いがかりで一個人を恫喝するのではなく、言論には言論で勝負していただきたい。
 その為に、

1 貴社は私への申入書をネット上で公開した以上、この回答全文も責任を以て公開すること。(当方は勿論公開しますが)
2 私の回答を歪曲せずに、性格を正しくとらえた記事で紹介すること。
3 今後、朝日新聞紙面に、森友加計報道に関する私の見解と貴紙の見解、また、両方の立場の有識者を公平に配分して、充分な質量の検証記事を載せること。
4 当該記事の執筆者や貴社幹部らと、私及び私と見解を同じくする有識者による公開討論をぜひ幅広く内外のメディアを前にして行うこと。

 以上を強く求めます。
 なぜならば、
貴紙の森友加計報道は、この数か月、拙著のみならず、各界の幅広い有識者の批判にさらされており、さらには、総理、副総理、与野党国会議員による言及・国会質疑さえなされるに至っており、それ自体既に社会問題だからです。
 「朝日新聞による2月から7月の森友・加計報道は「捏造」か否か。」
貴紙の森友加計報道が、ここまで社会的事件になっている以上、言論機関として、この問題の検証から逃げることは最早許されません。
問題を拙著による信用棄損に矮小化せずに、朝日新聞の森友加計報道のfactを開示し、社会問題としての堂々たる検証に進まれることを強く希望します。
私も微力ながら、本問題が日本社会の津々浦々まで知られ、多くの国民に問題意識を共有してもらえるようあらゆる努力を惜しまないつもりです。
朝日新聞と小川榮太郎――どちらが正しいかが問題なのではありません。最終的な結論が「捏造」と出ようと、貴紙の「表現の自由の範囲」だと出ようと、私は構わない。
貴紙一連の報道はデモクラシーへの挑戦です。デモクラシーを支える根幹は主権者たる国民が信頼に足る政治情報を得ることにあるからです。
貴紙報道の実態と現実の森友加計事件の乖離を国民が知ること――それこそが今後の日本のデモクラシーの健全性を守る上で、全てに勝る課題であると確信しています。
この総論的結論をまず、広く日本社会に訴えた上で、以下回答申し上げます。

【回答】

 この度、拙著『徹底検証 森友・加計事件 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』に対し、十一月二十一日付の申入書において、貴社は、「弊社の名誉・信用を著しく傷つける不法行為」と断罪し、「厳重」な「抗議」の上、「謝罪」「訂正」のみならず、「損害を賠償するよう強く求め」てきました。
 ところが、申入の中身を検討すると、記事件数に関する些末な訂正の要求⑪を除き、具体的なfact上の争点がありません。
 事あるごとに「言論の自由」を真っ先に叫び続けてきた貴社の立場から言えば、このような重大な文言を発出する以上、「言論の自由」を逸脱するfactに関する明白で著しい誤謬か、logicに関する明白で著しい嘘の事実構成が緻密に指摘されているべきですが、貴社申入項目は、殆どが私の「表現」か「意見言明」への苦情に過ぎません。これで賠償の要求とは、一般社会の通念に照らしても常軌を逸しています。
 その点を指摘した上で、本申入書の私への訂正、謝罪、賠償の要求が成立しない根本の理由をまず申し上げます。

 前書き第一節には”弊社に一切の取材もないまま、「虚報」「捏造」などと決めつけるのは「弊社の名誉・信用を著しく傷つける不法行為だ」とあります。
申入書は項目を細分していますが、後で回答するように抽象的な苦情の羅列に過ぎず、貴社申入の核心は、この一文に尽きると解せます。
そこで、個々の論点の前に、この核心部分について、根本を述べましょう。
拙著は、貴紙報道を何らの検証なく「虚報」「捏造」と決めつけているのではなく、すべてfactとlogicに基づき、二百七十九頁に渡る著作全体を通じて、貴紙報道が「虚報」「捏造」だったことを証明する試みです。
 拙著全体を通じての基本的な主張は次の通りです。
 森友学園、加計学園、どちらの事案も、基本的にそこで生じていた「現実のプロセス」と、朝日新聞社が主導して読者、国民に対して提示してきた「ストーリー」が、全く噛み合わず、極めて乖離している。
 貴紙の本年二月から七月にかけての紙面を一貫して追跡すれば、貴紙が描き出した「ストーリー」は、両事件ともに、端的に、安倍晋三総理大臣及び安倍夫人、または安倍政権の、強い、決定的な、且つ不正な関与があるとの疑念を広く国民に抱かせるものでした。
 それに対し、私が、膨大な関係文書の精読と関係者への取材により発見し直した経緯は、それとは全く異なるものでした。事実上安倍氏が直接且つ不正にこの両問題に関与している可能性はあり得ないというのが結論です。
 この森友・加計を巡る私が描く「事実」に対し、貴紙が紙面で作り上げてきた「ストーリー」との明白な乖離の全体を指して、私は「虚報」「捏造」と呼んでいます。
 これは、白を黒、鳶を鷹と言うような個々の事実細部における「捏造」ではなくとも、実はそれ以上に深刻な、個々の正確な事実を元にした、構図上の明白かつ客観的かつ否定しようのない「捏造」による別ストーリーの創作であるというのが、私の本書での評価なのです。
 したがって、貴紙が、「虚報」「捏造」という私の研究の結論を不服とするならば、本書全体の証明が、詳細なfactとlogicによって、全体として過ちであるということになる逆証明を付した上で、改めて抗議なり賠償なり、証明内容に相応な申し入れをしてきなさい。今回の申入書は全く逆証明が出来ていません。
 また、朝日新聞社への取材がないということは、拙著の信用を貶めるためであるかのように、申入書が何カ所か指摘していますが、そもそも本書の性質上、貴社公式窓口や取材班への公式な取材は意味をなしません。
 私の本書執筆の基本的なアプローチは次の三点です。
1 朝日新聞該当記事及び他報道機関の必要な関連記事の収集と熟読、解析。
2 朝日新聞紙面からは殆ど全く組み立てられなかった「事の実際の経緯」を、森友・加計問題の「一級資料」である国会、府議会、国家戦略特区関連会議、大阪府教育審議会、国有財産近畿地方審議会などの膨大な議事録を独自に収集して、熟読、解析。
3 以上2つのアプローチでも明らかにならないか、朝日新聞が故意に隠蔽していると推定される事柄について、独自に関係者に取材。
 以上の三段階です。私が執筆経過で驚愕したのは、貴紙の膨大な当該記事群数百本を幾ら読んでも、2に上げた森友加計問題の「一級資料」の読みから浮かび上がる経緯が、殆ど全く見えてこないことでした。
貴社にこそ厳しく、改めて問い直したい。
 なぜ貴紙は最も信頼に値する「一級資料」たる各種公的文書が明らかにしている事案の細部や構造を、膨大な報道の中で殆ど伝えていないのですか。貴紙読者および国民の前で、この私の問責に対して説得力ある弁明をすることが、私を問責するよりも先に貴社がなさるべきことではありませんか。
 その上で、第一に、拙著の最も基本的な論理構造は、貴社の記事と、現実の森友・加計問題の乖離を明らかにすることにあります。記事に関しての取材を貴社にする意味がありません。何故なら記事そのものは既に公表されており、それらの「文書としての性格」をいかに読み解くかが本書の主目的だからです。
 一方、2に示した一級資料の熟読はもとより、3に示した通り、朝日新聞が明らかにしていない件に関する森友・加計問題関係者に対する必要と判断された取材は可能な限りしております。
 私が貴紙の虚報を謀略と推定している箇所では、森友学園スクープ、加計学園スクープいずれも、当然、関係者に取材し、その上で、「事実」と「伝聞」と「推理」を明確に描き分け、「捏造」によって読者を騙すことにならぬよう細心の注意を払って執筆しています。
 さらに、関係者への取材としては、本文から明確にご理解いただける方々や団体以外に、首相官邸関係者数名、大阪航空局、国土交通省、大阪府教育課、北野法律事務所、藤原建設、大阪音楽大学、森友学園関係者、農林水産省、加計学園、朝日新聞のスクープに関する情報提供可能な関係者などに対して申し込み、その一部は可能であり、また別の一部は、現時点では応じ難いとして断られました。
 以上のような方法論上の自覚と理由があり、それに則って、必要十分な資料の読みと取材に基づいて書かれた拙著を、申入書は貴社窓口や取材班への取材がないことを以て「一切の取材もないまま、根拠もなく」と決めつけています。
明確に事実に反する私への名誉棄損です。
 以上をもって本質的には私の回答は終りです。が、項目を立てておられるので、必要最小限項目ごとに回答しておきます。

【16項目への回答】

(一)
 「朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」及び「無双の情報ギャング 朝日新聞に敬意を込めて捧ぐ」との記載について「上記の記載は、事実に基づかない、弊社に対する著しい誹謗中傷であり、弊社の名誉・信用を著しく毀損する物です」とあります。(以下、「上記の記載」以下は全てに付されているので略します。)
【回答】
① 既述の通り「報道犯罪」は本書全体を通じての証明事項です。訂正を要求するなら拙著全部の論理構造の過ちを逆証明してください。
② 上記記載は、「事実」でなく、私の「意見の要約的表現」です。それに対して貴社がこのような通告を行うことは巨大メディアという権力による個人の執筆者の表現の自由の侵害です。仮にこのような申入を大企業や大組織が、自らを批判する著書に気軽に発出できる社会を許せば、立場の弱い個人の著者は自由な批判や表現が不可能になります。自由社会の存立を危うくする「危険な一線を越えた指摘」と言わざるを得ません。

(二)
 ”弊社の「森友学園」「加計学園」に関する一連の報道にねつ造はありません”
【回答】前項同様、「捏造」は本書全体を通じての「私の意見の要約的表現」です。

(三)
 ”仕掛けた朝日新聞自身が、どちらも安倍の関与などないことを知りながらひたすら『安倍叩き』のみを目的として、疑惑を『創作』したとの記載”
【回答】前項同様、これも、本書全体を通じての「私の意見の要約的表現」であり、その総括的「表現」です。

(四)
 ”弊社は「安倍叩き」を社是としたことは一度もありません”
【回答】「社是」はむろん、会社の正式な意味の社是と言っているのではなく、比喩表現であって「事実」認定の問題ではありません。貴社広報部は常識がないのでしょうか。

(五)
 ”「朝日の記者側から、何らかの訴訟を構成すれば記事にできるとの助言があった末でのこの記事だという」(十九頁)との記載。豊中市議の木村真氏に対し、弊社記者が起訴を促すような助言をしたことはありません”とあります。
【回答】貴紙記者から当該件を直接聞いた報道関係者への取材に基づいた記述です。

(六)
 ”共産党や民進党の議員による国会質問や答弁について「初報をスクープした朝日新聞は、これらの質疑や会見内容を全く伝えていない」(二十六頁)との記載。弊社はこれらの質疑や会見を少なくとも二回、紙面で報じています”とあります。
【回答】私の該当箇所の「全く」の文意は、「質疑や会見内容」の「主要な全容」を正しく伝えていないことの強意表現であることは、文脈上明らかです。
貴紙ご指摘の18日付朝刊の国会論戦報道は前日の国会での、共産党の宮本岳志氏、民進党の福島伸享氏の質疑によって明らかになった森友問題の全体像を全く伝えていません。

(七)
籠池氏の国会証人喚問時の貴紙について拙著が、”見出しは上から順に、『籠池氏「昭恵夫人から、口止めとも取れるメール」』『お人払いをされ、一〇〇万円を頂き金庫に』『夫人から財務省に、動きをかけて頂いた』」と昭恵叩きの虚報三連発”と記載した部分に対し、申入書は「「虚報」には該当しません”」としています。
【回答】「虚報」です。証人喚問において、昭恵夫人は主要主題とはなっていません。証人喚問議事録に基づけば、昭恵夫人に関する質疑は、文字数換算にして全体の二.九%に過ぎません。文字換算だけで重要度を置換できぬとは言え、昭恵氏以外に重大な問題解明箇所が多数ありました。また籠池氏の証言能力はこの証人喚問時にも既に明らかに問題がありました。そのような実態に鑑みれば、三本の見出し全てが籠池氏の一方的な証言の引用による昭恵夫人の疑惑に関するものだというのは、見出しの立て方として「虚報」であることは明らかです。

(八)
 この項目は、朝日新聞社がスクープをした八枚の文書に関し、”その内容を本年五月十七日、十八日、十九日の紙面で紹介しており、「安倍の関与を想像させる部分以外は、文書内容をほとんど読者に紹介せず」という指摘は事実に反します”としています。
【回答】事実に反しません。貴紙において、文科省文書は、「総理のご意向」及び「官邸の最高レベルが言っている」の部分を極度にクローズアップし、それ以外の殆どを報じていないことは記事量比較をすれば容易に証明できることです。5月17~19日記事の些末な扱いで正当性を主張できるものでは全くありません。
何よりも深刻なのは、貴紙が、自分がスクープした文書八枚全部公表を全くしておらず、全部公表とそこから浮かび上がる時系列をベースにした報道を一貫して構成してこなかった事実です。スクープした文書の大半を隠蔽するようではスクープした意味がないではありませんか。

(九)
 ”弊社の記者や幹部が、加計学園の問題について「ある人物」や「NHKの人間」と一堂に会したことはありませんし、報道について共謀したこともありません”とあります。
【回答】これは、私の推定部分であり、そう明記しています。
読者一般に説得的な推理を展開する言論の自由は当然保障されねばなりません。

(十)
 ”朝日が裏取りもせずにスクープを決断”との記載に対し、”弊社は複数の取材源に確認したうえで該当記事を掲載しています”とあります。
【回答】切り取り方が異常・不正です。
一五六頁の拙著該当箇所は、貴紙紙面の熟読を通じた推論箇所です。その文脈から全く切り離して十七文字を抜き出せば、私が全体で表現している合理的推論は掻き消え、貴社が抜き出した箇所を私が「事実」として記述していることになります。これは文意の完全な捏造です。
貴紙記者はこんな無茶な引用を常習としているのでしょうか。新聞社として恥を知りなさい。

(十一)
 ”「実は、朝日新聞は、加計学園問題を三月十四日の第一報からこの日まで二ヶ月もの間、小さな記事三点でしか報じていない」(一五八頁)との記載。弊社はこの間に少なくとも十本の記事を全国版(東京本社発行)に記載しています”とあります。
【回答】私は、貴社の該当記事を、いくつかのキーワードから多面的にネット検索で収集し、紙媒体と照応する方法を取りましたが、指摘のあった記事の多くがヒットしておらず、記載した記事本数が不足していました。ご指摘の記事を検討しましたが、該当しない記事や素粒子まで含まれております。次回増刷分より「小さな記事三点」を「わずか十点にも満たぬ記事」と訂正します。

(十二)
【回答】これも(九)と同断であり、推測であることを明記した場所ですので、事実を争点とする主張は失当です。

(十三)
 ”「現時点では取材拒否が多く」(一六〇頁)との記載。弊社の取材窓口にはもちろん、弊社の取材班にも、貴殿からの取材申し入れはこれまで一度もありません”とあります。
【回答】該当箇所は、貴社取材窓口、または取材班への取材が拒否されたと書いていません。

(十四)
 ”「全編仕掛けと捏造で意図的に作り出された虚報」「確信を持って誤報、虚報の山」「前川喜平たった一人の証言で」とは何を指すのか及びその根拠をお示しください”とあります。
【回答】根拠は、拙著四章・五章全体です。
よく読んで正しくご理解ください。
 また、”弊社は文部科学省関係者や当事者、関係者に幅広く取材をし、報道しております”とありますが、この問題に関し、貴社は、安倍総理、加戸守行氏、義家弘介氏、萩生田光一氏、文科省担当課担当責任者ら、特区ワーキンググループの委員諸氏に取材し、その主張を充分に報じていますか。
もしそうした取材と事理を明らかにするに足る充分な報道があれば、具体的にお示しください。

(十五)
 ”弊社は萩生田氏の言い分を度外視しておらず、本年六月十六日から十七日にかけての朝夕刊で三回にわたり見出しを付して萩生田氏の言い分を報じています”とあります。
【回答】萩生田氏に関する貴紙報道について、拙著では分量の関係で7行に纏め、詳述しておりませんが、実は大変深刻な「虚報」「捏造」が行われているので、この機会に改めて正確に指摘しておきます。6月15日文科省発表文書中に「指示は藤原審議官曰く官邸の萩生田副長官からあったようです」と二重の伝聞が書かれていたのみなのに、貴紙は一面トップで「「官房副長官が指示」メール」の大見出しを打ち、二面全面で「官邸関与 深まる疑念」と大きな記事にしています。これを見る読者は、誰も数文字の二重の伝聞だけが根拠とは思いません。私見ではこれは見出しによる「捏造」です。また、6月20日文科省公表文書の中身を、21日付貴紙は「萩生田氏発言」と題して「「総理は18年開学」と期限」と大見出しを打っています。ところが、記事の終わりの方には松野文科相が「「内容に不正確な点があった」として萩生田氏に「大変迷惑を掛けた」と陳謝した」事実を報じています。発表当事者である文科大臣が不正確で陳謝した文書内容を大見出しに打つのは、これも又「捏造」ではありませんか。お答えください。

(十六)
【回答】(八)同様なので、回答を省きます。

以上

【関連リンク】
▽朝日新聞コーポレイトサイト 「徹底検証『森友・加計事件』 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」の著者・小川榮太郎氏と飛鳥新社への申入書
▽飛鳥新社公式サイト 小川榮太郎著「徹底検証『森友・加計事件』」に対する朝日新聞社申入書への回答